先日社内でemiさんに、「新興国のインデックスと実際の割合っておかしくない?」と、疑問を投げかけられたのですが、はっきりと答えられず・・・ しかし、住信アセットさんのセミナーでその答えがありました。
新興国株式のインデックスは買いやすさも評価されている。 だからギャップがある
例えばiシェアーズ MSCI エマージング株式(EEM)と、実際の株式市場などの割合を見てみますと、随分と違いがあるようです。
そこで、MSCIエマージングの割合(STAM新興国株式インデックス)、日興アセットマネジメントの投資国情報、myINDEXさんの時価総額情報をまとめてみました。 また、おまけとして世界の企業時価総額ランキングから新興国企業だけもピックアップしてみました。
MSCI エマージング | STAM 新興国株式 | 日興アセット URL | myINDEX URL | |
---|---|---|---|---|
中国 | 17.83% | 17.74% | 23623億㌦ | 6191億㌦ |
ブラジル | 16.22% | 15.35% | 6417億㌦ | 6935億㌦ |
韓国 | 12.99% | 14.79% | 4831億㌦ | 6471億㌦ |
台湾 | 10.54% | 11.60% | 4250億㌦ | 5149億㌦ |
南アフリカ | 8.01% | 6.90% | 2369億㌦ | 3322億㌦ |
インド | 7.15% | 6.50% | 5995億㌦ | 3846億㌦ |
ロシア | 5.85% | 6.60% | 2564億㌦ | 3196億㌦ |
順位 | 社名 | 時価総額STAM |
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2位 | ペトロチャイナ | 2685億㌦ |
4位 | 中国工商銀行 | 2113億㌦ |
6位 | チャイナモバイル | 2010億㌦ |
9位 | 中国建設銀行 | 1892億㌦ |
20位 | ペトロブラス | 1421億㌦ |
こうしてみますと、時価総額のとらえ方に凄く違いがあるようです。 たぶんですが、日興AMの投資国情報は株式時価総額、myINDEXは浮動株調整後(売買できる分だけの株式時価総額)となっているようです。
特に中国やインドは、大株主が政府系になっている会社が多いようで市場に出ている株が少ないため、組入の比率が低くなっているです。 簡単に言うと、「売買のしやすさを考慮した市場平均」という考え方のようです。
関連記事:世界の株式時価総額比率とMSCI AC World - 梅屋敷商店街のランダム・ウォーカー
新興国債券のインデックスは制限を掛けている。
ついでに新興国債券の方も簡単にですが、調べてみました。
新興国債券に投資する海外ETFですと、iシェアーズ JPモルガン・エマージング債券 (EMB)がありますので、そちらとSTAM新興国債券インデックスを比較してみました。
JPモルガン エマージング | STAM 新興国債券 | |
---|---|---|
中国 | 0% | 対象外 |
ブラジル | 8.20% | 9.60% |
韓国 | 対象外 | |
台湾 | 対象外 | |
南アフリカ | 2.80% | 9.60% |
インド | 対象外 | |
ロシア | 9.24% | 4.90% |
タイ | 対象外 | 9.80% |
指数対象国 | 35か国 | 15ヶ国 |
実は、STAM新興国債券などが採用しているインデックスは、投資対象を少なくし、またさらに一か国あたりの組み入れ比率を制限(最大10%?)した指数になっているそうです。
こちらも、新興国の多くが、外国人投資家を制限しているので、組入対象から外れていたりするそうです。
そう言った意味では、新興国債券市場の比率をしっかりと再現はしていないようです。
インデックスファンド、ETFで新興国が気軽に買えるようになったとは言え、中国・インドなどの株式・債券は、かなりアンダーウェイトになっているようですね。 これから、ますます国の成長・市場の成長が進むと思いますが、それによって、どう比率などが変わっていくか、注目しておきたいと思います。
とくにエマージング株式のほうは、投資のヒントにしてみようと思います。