先日、運用会社のスパークス・アセットマネジメントから設定される新ファンドについて、詳しくお話を伺える機会がございました。
ファンド運用チームから、代表として武田さん(動画では見ていました)からお伺いすることができました。 個人的にはかなりエッジの効いているファンドですので、"アクティブファンドOK!"な投資家さんには、ちょっとチェックして欲しいファンドと感じのですが、さてどうでしょうか。
ファンドの運用スタイル
エッジが効いていると書きましたが、約30銘柄への集中投資となっております。
日本・アジアで30銘柄(2018年10月)ですので、かなり銘柄数を絞っています。まさに"厳選"スタイルですね。
このような運用スタイルが取れる理由として、スパークスの拠点が日本・香港・韓国とあり、委託ではなく自社でまかなえチーム制で運用している強みの部分。スパークスが大事にしている7つの投資原則*1が日本株でもアジア株でも徹底できるだからこそのスタイルだそうです。
組入れ銘柄について
ベンチマークがないので、参考指数として提示されていたのが、MSCI ACアジアインデックスでした。 日本とアジアの比率は同程度ですが、アクティブシェアは90%程度(数値が高いほど対象のインデックスファンドと銘柄、割合に違いがある)とかなりアクティブファンドらしさが出ています。
※アクティブシェアが高いとパフォーマンスが高いとは別の話ではあります。
日本株のところについては、既に実績がでている既存ファンドがありますので、この運用スタイルを継続すると思われます。アジアへの投資についても「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」と同じ哲学を持って銘柄選定・運用方針を取っていくことと感じました。
【参考】スパークス・新・国際優良日本株ファンド
それではアジアへはどういった投資をしていくのか
そもそもアジアを投資対象とする理由についてですが、大きくは2つあるとのことでした。
(1)人口が増加している国々が多い。 これは日本市場にはない羨ましい環境
(2)日本人としても、文化・考え方・消費行動など共通する考え方、理解しやすい考え方もある。
この2つを特性をベースにこれまで日本株で培った投資をしていくとのことです。
ただ一方で、日本とアジアでは、違う面もあるため、そこはしっかりと取り入れたいとのことでしたが、その例として
(1)日本にはないビジネスモデルの企業
例えばカジノなども海外では上場もしている。そう言った銘柄を発掘するのも一つの方法。
(2)グローバル・ラグジュアリー企業
あまりに日本にはありませんが、世界でも通用するブランドがアジアにはある。
(3)日本では飽和気味ともいえる市場だがアジアでは有望
たとえば銀行、まだ2人1口座しか銀行の口座を持っていない。保険なども同じ。
ただし、飲料・食品などについては、地元企業の強みなど(食文化の違いが理解できない場合もある)があるので、そこは無理をしないといった。日本人だからこそ見つけられる銘柄のみ、なおかつビジネスモデルがしっかりとした、将来も有望な確度の高い企業にのみ投資をしていくとのことでした。
日本とアジアの割合は?
日本株の比率については50%を超えないとのことでした。アジアを中心に勝負をしていくとのスタイルのようです。残りについては、中国(香港・台湾)、先進国圏(マレーシア・シンガポールなど)、人口成長国圏(インド・インドネシアなど)にセクターを分け、チーム運用でしていくとのことでした。
絞りに絞った集中投資だからこそ安定している運用
インデックス投資の場合は幅広い分散をすることによりリスクを抑える手法を取られていますが、日本株の運用のところでも結果として出ていますのでご覧頂きたいと思います。「スパークス・新・国際優良日本株ファンド」は20銘柄弱で運用されているのですが、参考指数にくらべ標準偏差(リスク)を抑える運用ができています。最小分散ポートフォリオ理論に近いものがあるような気がしますが、よりアクティブファンドらしく絞りに絞った安定したビジネスモデルの企業に、しっかりと投資してきたことが結果として表れていると思われます。
販売会社がまだ1社しかないのは、すこし残念ですが、じっくり育って欲しいとも感じるファンドです。しっかりとウォッチしてきたいと思います。
- スパークス・新・国際優良日本アジア株ファンド(特化型)
連動指数 : なし
信託報酬 :1.84%(税抜)
信託財産留保額 : 0.3%
決算 :年1回
スパークスの「厳選投資」は、投資対象を選別する際の基準をはっきりと7つ掲げています。
1.ビジネスモデルがシンプルで理解しやすい
2.本質的に安全なビジネス
3.有利子負債が少ない強固なバランス・シート
4.高い参入障壁に守られたビジネス
5.持続可能な高ROEとそれに見合う利益成長
6.景気動向に左右されず潤沢なキャッシュフローを生み出している
7.資本コストを理解し、最適資本配分ができる卓越した経営陣
個人的な思いではありますが、アクティブなファンドも大事にしていきたいですが、粗悪なアクティブとの違いはもっと出てきて欲しいと思います。