金融庁より、資産運用業界の高度化に向けて分析した資料の2021年版が発表されていました。
ちなみに高度化とは、『業務価値を高めること、事業・商品価値を高める』ことを意味するそうです。 ぜひ使っていきたいカッコイイ言葉ですね。
さてその中で、気になるデータ、「ファンドラップ専用ファンドの5年シャープレシオ」がまとめられているのですが、興味深い結果となっていました。
そのグラフを見ると、バランスファンドのシャープレシオの平均を下回っているようです。
ちなみにファンドラップ(ラップ口座)とは、一任運用と言いまして相場の好不調にあわせ運用し希望にあった運用をしてくれる仕組みになります。一般的なバランスファンドはなるべく配分を固定しようと運用されていますが、ファンドラップの場合は、お任せ運用となっています。
シャープレシオは投資の効率性や安定した成績具合を表す指標
計算方法は比較的シンプルです。
(リターン ー 安全資産のリターン)÷リスク です。
リターンをリスク(値動き・ブレ)で割っています。仮にリターンが同じであったとしても、リスクが低いほどシャープレシオが高くなりますので、うまく(効率よく)リターンを出していると言えます。
高リターンだったとしても、リスクが大き過ぎるとシャープレシオは小さくなります。リスクが高いということは、マイナスな場合も大きくなる可能性がありますので、あまり良い投資とは言えないんです。
リスクを8%と 仮定した場合*1 |
リスクを12%と 仮定した場合*2 |
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コスト控除前の ラップ専用ファンド |
4.00% | 6.00% |
コスト控除後の ラップ専用ファンド |
2.00% | 3.00% |
バランスファンド | 3.05% | 4.60% |
ご覧のように、良いファンドを使っていても、手厚く包むことによって大きくリターンが下がってしまっています。バランスファンドもまだまだ手数料が高く平均的な信託報酬は、1.2%程度ですので、コストの安いバランスファンドでしたら、もっとこの差はついてきます。
リターンが押し下げられている理由は"費用"と思われます
シャープレシオが高くない理由、バランスファンドに劣る理由としては、2つ要因が考えられます。
- 運用がうまくない(リターンが出ない、もしくはリスクが大きい)
- 費用が高い結果、リターンが低くなっている
2つの理由が考えられます、1つ目の理由であれば、ファンドラップの意味がないので、そうでない事を願いますが、2つ目のついては高い費用がリターンの足を引っ張っていると言えそうです。
半数以上の会社のファンドラップが2%以上の手数料となっているようです。
ファンドラップがお任せできる良い仕組みであるとは言えそうですが、実際のところはそうでもないことが今回の結果から浮き彫りになったようです。
今のところ、投資のコツ、ネットのコツ(ネットバンキングやネット証券での売買)を覚えてシンプルなスタイルにすることが良い方法のようです。