かえるの気長な生活日記。

FP会社勤務のへっぽこ投資家が、みなさんの老後の不安を少しでも減らすお手伝いができるよう、資産形成に役立つ投資(直販投信、インデックス投資、確定拠出年金iDeCo、バリュー投資)を自ら実践・やさしく紹介しているブログです。

日興アセットマネジメントへ訪問しました!

かえる : 今回は、日興アセットマネジメントから設定されました、メジャーな指数に投資するのに少し中身の変わったETF、
 1680:上場インデックスファンド海外先進国株式(愛称:上場MSCIコクサイ株)と、
 1681:上場インデックスファンド海外新興国株式(愛称:上場MSCIエマージング株)について、ETFセンターの今井さんと、小島さんに詳しくお話をうかがってきました。
※今回は少し難しい金融用語がでてきますが、お許しください。

コード名称略称対象指数 信託報酬
1680 上場インデックスファンド
海外先進国株式
上場MSCI
コクサイ株
MSCI KOKUSAI0.2625%
1681 上場インデックスファンド
海外先進国株式
上場MSCI
エマージング株
MSCI エマージング0.2625%


上場MSCIコクサイ株、上場MSCIエマージング株の中をみますと、先物で運用されていますが、大丈夫なのでしょうか?

今井さん
  ■ 税金やその他の諸費用を極力抑える
  ■ リンク債などを活用した際に負う必要があるカウンターパーティーリスクがない
  ■ トラッキングエラーを抑える
といったETFになっていると思います。

昨年8月にETFの制度改正がありましたが、それ以前の制度のもとでETFを組成する場合、基本的には以下の2種類の方式がありました。

 1. 現物の株式や債券などを拠出して、連動対象指数に合わせてETFに組み入れる。
    解約時は現物の株式や債券を返還する。
 2. 現金をETFに拠出して、ETFが株式やリンク債などを組み入れる。
    解約時はETFに入っている現物の株式やリンク債を返還する。


先進国株式や新興国株式のETFのニーズが高いことは、かなり以前からわかっていたのですが、ではなぜ、制度改正前にこれらの方式を採用して組成しなかったのか、また制度改正後もこれらの方式ではなく先物を活用することにしたかをご説明します。
『1. 現物の拠出』方式が可能であれば、それが一番望ましいとも言えるのですが、採用しなかった大きな理由は【時差のある証券決済地】です。

時差のある証券決済地
「上場MSCIコクサイ株」と「上場MSCIエマージング株」の場合、共に世界22カ国に投資しますので、日本と時差のある国々が対象となります。 このような場合に現物の株式を拠出してETFを設定しようとすると、複数の外国の決済機関に現物の株式の振替指図を行うことになるのですが、その際、受け渡しがうまくいかないこと(フェイル)がしばしば起こりえます。
フェイルが起こった場合、そのことが日本で分かった時は、外国は夜中になっていてリカバリーすることができません。 この方式でETFを安定的に運営するのは非常に困難と言えます。

また、運用対象となる現物の株式をまず債券(リンク債)や外国籍の投信に組み入れて、その債券(リンク債)や外国籍の投信をETFに拠出することも考えました。
これはできないことはないのですが、仕組みが複雑になる分、コストが高くなってしまいます。 特に外国籍の投信を使うスキームは、オフショア課税の問題などや、現地でのファンドの設立費用や弁護士費用など、その他の費用が大幅にかさんでしまい、結果的に高コストの商品になってしまいます。 さらには、リンク債にはカウンターパーティーリスクもあります。


今井さん: 次に、『2. 現金をETFに拠出して、ETFが株式やリンク債などを組み入れる。 解約時はETFに入っている現物の株式やリンク債を返還する』方式についてですが、このうち、「現金をETFに拠出して、ETFが株式を組み入れる」方式は税金処理が問題になります。ETFは取引所で自由な取引ができることから、日本の投資家だけでなく外国の投資家も売買・保有することができます。 共に世界22カ国に投資する「上場MSCIコクサイ株」と「上場MSCIエマージング株」は、その保有者が日本の投資家か、または外国の投資家かによって、ETF内の株式に関する税金の取扱いが違ってきます。 そのため、現金をETFに拠出して、ETFが株式を直接組み入れる方法は、運営が非常に困難です。

次に、「現金をETFに拠出して、ETFがリンク債などを組み入れる方式」についてですが、この方式を採用しなかった理由は大きく2つあります。

それは、【戻ってこないリスク】と【コスト】です。
戻ってこないリスク】と【コスト
リンク債などは、その債券の発行体が倒産などしてしまいますと、価値が大きく毀損する可能性があります(信用リスク)。  元本が戻ってこないリスクがあるということです。 2008年に起ったリーマンショックとその後の金融危機の際には、リンク債には信用リスクがあることがあらためて浮き彫りになりました。
「上場MSCIコクサイ株」と「上場MSCIエマージング株」の開発過程では、こうしたリスクを含めてこの方式のメリット・デメリットを慎重に検討し、採用を見送ることにしました。 なお、リンク債自体が相応のコストがかかってしまう商品であり、このこともこの方式を採用しない理由のひとつとなりました。

このように、
『1. 現物の株式や債券などを拠出して、連動対象指数に合わせてETFに組み入れる。 解約時は現物の株式や債券を返還する』、
『2. 現金をETFに拠出して、ETFが株式やリンク債などを組み入れる。 解約時はETFに入っている現物の株式やリンク債を返還する』のいずれの方式も採用しないとの判断をしたわけですが、そうした中、昨年8月、ETFの制度が改正され、『現金をETFに拠出して、ETFが株式やリンク債などを組み入れる。解約時はETFに入っている現物の株式やリンク債を売却して、現金を返還する』方式が認められました。

この新しい方式の採用を前提にあらためてさまざまなスキームを検討し、そして考えついたのが、上場している先物を活用することでした。 先物と現物株式(指数)は、特定の日に先物が現物株式(指数)と同じ価格で清算されるという関係にあります。 つまり、先物と現物株式(指数)は紐付けがされているわけです。 さらに先物は裁定取引が行われやすく、株価指数と連動するという特性を有します。 また、上場先物であれば、取引所が受渡しを確実にしてくれるので基本的にカウンターパーティーリスクがありません。 
この方式の採用によって従来の方式では解決が難しかった問題をクリアできる見通しとなったことを踏まえ、先物を組み合わせた運用のテストに入り、対象とする指数に連動するかシミュレーションを繰り返し行い、最終的に商品化にいたりました。

next.gif 日興アセットマネジメントへ訪問しました! その2